YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

年金だけで暮らせるなら老後資金はほぼいりません

「老後資金はいくら必要か」で検索すると1000万円から5000万円まで、いろいろな意見があります。

ちゃんとした企業のWebサイトで、FPなどの専門家が言っているのでそんなに必要なのか、そんなものかと思ってしまいます。

しかし記事をよく読むと、どの試算も毎月赤字になることを前提としています。
だったら節約して赤字にならないようにすれば、赤字を補填するための老後資金はいらないことになります。


本当に必要な老後資金は、死ぬまでに起こりうる一時的な高額出費に対応できる金額ではないでしょうか。
そして、それは自宅のリフォーム、自分の介護費用くらいではないでしょうか。

マンションのリフォームにかかる費用はせいぜい500万円です。
マンションリフォームの費用相場!賢く費用を抑える方法も解説(リフォームガイド)

また、介護費用の平均は月8.3万円で5年であり、約500万円です。
介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?(生命保険文化センター)

そうすると、リフォームと介護であわせて1000万円あればいいことになります。


60代の貯金額の中央値が約700万円、平均値が約1600万円という数字から推測すると、
1000万円以上持っている世帯は4割くらいいるはずです。
そして、退職金の平均は2000万円らしいので、もしこれに貯金、年金保険があるなら数千万円持っている世帯もかなりの割合でいるはずです。

1000万円だけ残してあとは計画的に使ってしまうのがいい老後の過ごし方だと思うのですが、なかなかそういう情報は世の中になく、自分で考えて実行するしかないようです。

 

年金だけで暮らせるようにするために必要なこと

年金だけで暮らせるようにするためには、
・収入を確保すること
・支出を減らして収入以下にすること
の2つが必要です。

これがないと持続可能になりません。
逆にこれができれば、120歳まで生きても安心です。


収入は、
・夫は、現役世代の年収が平均以上だったため、厚生年金額も平均以上
・妻は、定額部分を繰り下げて金額を増やし、夫の死後はそれに遺族年金を加える
というのが理想です。

妻が年金受給を5年繰り下げ、その分を補うためには、
・妻がその期間をパートで働く
・年金保険をもらう
・へそくり(死語?)を使う
・夫からお金をもらう
などが必要です。

夫が働いていないのに妻だけ65歳から5年も働くのは難しいかもしれません。
金保険やへそくりがあればいいのですが、ない場合は夫から生活費の一部としてもらうことも必要でしょう。


支出は、
・夫婦で暮らし生活費を抑える
・できる節約はすべてやる
・基本的な生活費を低くする
・老後資金から出すのは一時的な出費のみ
とし、無理のない範囲でやるべきことは全部やります。


働いて月5万円、10万円の収入を得ることを提唱している専門家が多いですが、それは持続可能ではありません。
70代以降は健康問題や仕事がないなどで収入がなくなる可能性が高くなるからです。


年金だけで暮らせる状態になった、仕事をしなくても生きていける、というのは現役世代の多くが理想としている状態です。

これが達成できた高齢者は大いに喜ぶべきです。

 

定年後再雇用で週3日勤務にしたときに起こること

定年後再雇用の5年目は週3日勤務に減らしました。月火水だけ勤務です。

週3日勤務になったら、1か月があっという間に過ぎる感覚になりました。
これはフルタイムのときと逆の現象だと思います。
フルタイムで残業をしていたときは、会社にいる時間が長いため、家に帰ったときにもう1か月経ったのかという感覚になります。
この逆で、家にいる時間が長いため、出社したときにもう1か月経ったのかという感覚になります。


また、月曜日は祝日の振替休日のことが多く、さらに年次休暇が繰越分と合わせて15日くらいあるため、実質週2.5日勤務という感じです。

すると作業時間はさらに減り、3分の1くらいになります。
フルタイムの勤務時間を100とし、メールチェックや会議、情報収集などインプットの時間を20、作業などアウトプットの時間を80とします。
この状況で勤務時間が半分の50になると、インプットの時間20は変わらないので作業時間は30になり、30/80=37.5%になります。

こなせる仕事量がほぼ3分の1になるので、すでに仕事が減っていて暇になっていないと週3日にはできないことになります。


お金の面では、給料と雇用継続給付金が6割になるのですが、社会保険料は6割まで減らず、所得税はほぼゼロであっても住民税は5月まで変わらないので、手取りも6割くらいになります。

減収額は百数十万円です。
定年後再雇用で仕事がなくなってきたら勤務日を減らすことを考え始め、貯金額を考えていつから週4日または3日勤務にできるかを考えればいいと思います。

数百万円の予算があれば、2年目からまず1日、3年目からもう1日と減らしていけるのではないでしょうか。

社会保険の支払いを考えると、がんばって週3日勤務で65歳まで勤め上げるのが一番いいやり方だと思います。

 

プレジデント誌の「定年」の特集について

「定年」の新常識 2024(プレジデント2024年3/29号)

最初の文章の担当が「定年後」の著者の楠木新氏であることから、この特集は「定年後」の本の内容を中心に作成したものと推測できます。


この6ページの文章には疑問がたくさんあります。

「金持ち定年への4つの分岐点」
⇒定年の少し前なら、金持ちかどうかの勝負はほぼ終わっているはずです。50代から起業して金持ちを目指すというなら、それはかなりハードルが高いです。

「同じ収入なのに裕福な老後を送る人、経済的に困窮する人がいる。どこで分かれた?」
⇒それはお金があっても堅実に暮らすか、お金がないのに無駄遣いするかの違いに決まっています。

「5年後の自分がどうなるかもわからないのに30年も先から逆算することに意味があるのか」
⇒これは大いに意味があります。長期計画を立てておいて、3年、5年ごとに見直します。「5年後の自分がどうなるかもわからない」という考えがあるから、60歳から年金をもらう、という間違った選択をしてしまうのだと思います。

「50代で次の職探しを始めるか」
⇒これは著書「定年後」にある、起業して第二の人生を輝かせるということです。一生ハードに働くことが前提になっており、ゆるく働く、働かないで遊ぶ、という選択肢はここにありません。

「定年を前に支出をまとめて見直すか」
⇒見直すのは当たり前です。年金の範囲内で暮らさないと持続性がありません。起業しても安定した収入が得られる保証はありません。

「お金の相談相手がいるか」
⇒普通はいません。いないからと金融機関の営業マンに相談するとカモられるので、自分で考えるしかありません。

「現役時代に身銭を切ったか」
⇒これはちょっと意味不明です。会社の経費で出張したり食事したりをたくさんしたらしく、特殊な状況のようです。


定年で考えるべき大きなテーマは、60代前半の再雇用の働き方、お金、健康、リタイア後の生き方、ではないでしょうか。

この特集には80%の人が選択する再雇用についてほとんど書いてありません。

そして、お金についてかなり迷っています。
もうほぼ勝負はついていて、あとはその範囲内で暮らすしかないはずです。

この特集は一生仕事をすることが前提であるため、仕事以外の生き方が追求されていないという問題があります。
いつかは仕事をやめるのに、やめたあとのことを考えていません。

「定年の新常識」というタイトルなのに、多くの人に当てはまらない残念な内容になっていると思います。

 

「年金は損得で考えてはいけない」について

これはネットの記事でよく目にします。
いろいろ読んでいくと、2種類の意味があることがわかります。

1.若い世代が払い損になると不満を持っていることに対して、年金は損得ではない、保険なのだと諭すもの

年金制度、損得論・破綻論からの卒業を(日本経済新聞)

一部の経済学者やメディアは「損得論」を持ち出して年金制度を批判しました。世代によって損得の格差が拡大していくというものです。

いずれも年金を「社会保障」として考えるとおかしな議論です。

 

損得を語るのはそもそも間違い?公的年金の本質とは(All About)

個人年金は、自分の保険料を自分のリタイア後の年金の財源とする「積立方式」であるのに対し、公的年金は現役時代に支払った保険料は自分のためでなく、その時代の年金に使われる「賦課(ふか)方式」となっています。

公的年金は3つの「困ったとき」に支給されます。具体的には、
・年を取ったとき:老齢年金
・一定の障害の状態になったとき:障害年金
・一家の大黒柱に万が一のことがあったとき:遺族年金

 

「日本の年金は不公平である」と言う人がいますが、福祉政策なのだから不公平は当たり前です。

損をする可能性が高い人は、厚生年金受給者、男性、独身、収入が多い人です。
得をする可能性が高い人は、国民年金受給者、女性、会社員の妻、収入が少ない人です。

つまり弱い人が得をするということです。

長生きすれば誰でも得をするので、そのために支払っていると考えるべきでしょう。

法律で決まっているので加入するしかありません。
これをやめるには政治を変えるしかなく、それは別の話になってしまいます。


2.50代、60代が何歳から受け取れば得をするかをいろいろ議論していることに対して、年金は損得ではない、保険なのだ、いつ死ぬかは誰にもわからないと諭すもの

年金は何歳から受け取るのが一番お得?→「意味のない質問」だと言い切れる理由(DIAMOND Online)

そもそも公的年金というのは保険だ。

自分が何歳で亡くなるかがわかっていれば計算は簡単だが、そんなことは誰にもわからない。したがって、「何歳から受け取るのが一番得か?」という質問はまったく意味がないのである。


これはちょっと違うと思います。
大金を払ったのだから、損得を考えて一番いい方法で受け取りたいと考えるのは当たり前です。
この場合は「損得『だけ』で考えてはいけない」が正しいです。
大いに損得を考え、加えて将来のリスクをよく考えるべきです。

DIAMOND Onlineの記事も、最初に「損得ではない」と言っておきながら、そのあとに損得の話になっています。

夫婦で年金を受け取る場合の一つの有力な方法は、「夫の年金は通常の65歳から受給を始め、妻の年金は最長の75歳まで繰り下げる」というやり方である。この方法が良いと思われる理由は三つある。
(1)長生きする可能性が高い妻の老後年金収入を最大限手厚くできる
(2)遺族年金は夫が65歳時点での金額がベースとなるため、「夫の繰り下げ」はそれほどメリットがない。
(3)年の差が大きい夫婦の場合、夫が厚生年金を繰り下げると年間39万円ほどの加給年金を受け取ることができなくなる。
(理由については少し要約しました)


年金はほとんどの高齢者にとって一番の安定収入です。
それぞれが全力で損得を考えるべきでしょう。

 

年金を60歳からもらうことのデメリット

60歳からもらっていい人は、24%減額されても十分生活できる支給額の人です。
あるいは十分な資産があって減額分を長期に渡って補える人です。

年金を60歳からもらいたいと言っているのはおそらく働きたくない、貯金がない、という人ではないでしょうか。
そういう人には向きません。それは将来の生活困窮リスクを高める行為です。


さらに、60歳からもらうことで2つのチャンスを逃してもいます。

ひとつは失業手当の受給です。
60歳まで働いたなら、まず雇用保険の基本手当をもらい、そのあとで年金の請求をすべきです。
年金をもらってしまうと、ハローワークで求職の申込みをした時点でその年金は支給停止になり、今後その分がもらえることはありません。

もう一つは追納です。
多くの人に国民年金の未納期間があるはずです。
60歳から追納して納付期間を40年にすれば年金を満額受給できるのに、もらってしまうと追納ができません。


障害基礎年金や寡婦年金のように何かがあった時にもらえる年金がもらえなくなるということもよく言われています。

だから60歳になってすぐもらうのはデメリットが大きいです。
年金以外のものをもらえるものはもらい、払うべきものを払ってから年金をもらうべきでしょう。

でもすぐお金が欲しい人はそんなことは考えないのかもしれません。

 

森永卓郎氏の「年金は60歳からもらえ」という本について

森永卓郎氏は、「年金は60歳からもらえ」という本を2012年に出しています。
年金は60歳からもらえ 繰り上げ受給は、デフレ時代の賢い選択

森永氏は1957年生まれなので55歳のときです。
彼自身はおそらく63歳から報酬比例部分をもらえます。

2012年は東日本大震災の1年後、民主党政権、デフレの真っただ中、でした。

たとえば三年後に法律改正が行われ、支給開始年齢が六八歳まで延長され、さらに給付額の削減まで行われたとしよう。それではたまらないと繰り上げ受給しても、あなたは削減された本来の受給額をさらに減額した年金しか受け取れなくなる。六〇歳から繰り上げ受給している同年齢の人に比べて損失額も大きくなる。「もっと早くから繰り上げ受給していればよかった」と悔やむことになるのは間違いないだろう。(内容紹介より)

これは突然、支給開始年齢が先延ばしされ、かつ減額され、それがさかのぼって適用されると、5年繰り上げて受給した人が大きく得をするという話です。

当時も現在でも60歳から65歳への先延ばしの最中であり、途中でさらに68歳まで先延ばしするのはあり得ない話です。

結局これは起こらなかったし、国は繰り上げ受給者が得をする状況を作ることはないと思います。

 

元気なときにお金を使ってこそ価値がある。同じ10万円でも、60歳に使う場合と70歳で使う場合では価値が違う。(内容紹介より)

これはその通りですが、60代が楽しければいいというキリギリス的な考え方です。


森永氏は今67歳くらいなので、もし彼が自身の言う通りに60歳から年金を受け取っているとすると、健康の状況を考えると彼自身については今のところは結果的に正しかったことになります。

しかしこれが万人に当てはまるわけではありません。
長生きしないのがほぼ確定しているなら繰り上げ受給のほうがよさそうですが、
年金額が少なく、資産も少ない人が、働けなくなり、さらにその状態から死ぬまでの期間が長く、長い間お金で苦しむリスクを考えると、年金はできるだけ取っておくべきでしょう。