YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

「年金は損得で考えてはいけない」について

これはネットの記事でよく目にします。
いろいろ読んでいくと、2種類の意味があることがわかります。

1.若い世代が払い損になると不満を持っていることに対して、年金は損得ではない、保険なのだと諭すもの

年金制度、損得論・破綻論からの卒業を(日本経済新聞)

一部の経済学者やメディアは「損得論」を持ち出して年金制度を批判しました。世代によって損得の格差が拡大していくというものです。

いずれも年金を「社会保障」として考えるとおかしな議論です。

 

損得を語るのはそもそも間違い?公的年金の本質とは(All About)

個人年金は、自分の保険料を自分のリタイア後の年金の財源とする「積立方式」であるのに対し、公的年金は現役時代に支払った保険料は自分のためでなく、その時代の年金に使われる「賦課(ふか)方式」となっています。

公的年金は3つの「困ったとき」に支給されます。具体的には、
・年を取ったとき:老齢年金
・一定の障害の状態になったとき:障害年金
・一家の大黒柱に万が一のことがあったとき:遺族年金

 

「日本の年金は不公平である」と言う人がいますが、福祉政策なのだから不公平は当たり前です。

損をする可能性が高い人は、厚生年金受給者、男性、独身、収入が多い人です。
得をする可能性が高い人は、国民年金受給者、女性、会社員の妻、収入が少ない人です。

つまり弱い人が得をするということです。

長生きすれば誰でも得をするので、そのために支払っていると考えるべきでしょう。

法律で決まっているので加入するしかありません。
これをやめるには政治を変えるしかなく、それは別の話になってしまいます。


2.50代、60代が何歳から受け取れば得をするかをいろいろ議論していることに対して、年金は損得ではない、保険なのだ、いつ死ぬかは誰にもわからないと諭すもの

年金は何歳から受け取るのが一番お得?→「意味のない質問」だと言い切れる理由(DIAMOND Online)

そもそも公的年金というのは保険だ。

自分が何歳で亡くなるかがわかっていれば計算は簡単だが、そんなことは誰にもわからない。したがって、「何歳から受け取るのが一番得か?」という質問はまったく意味がないのである。


これはちょっと違うと思います。
大金を払ったのだから、損得を考えて一番いい方法で受け取りたいと考えるのは当たり前です。
この場合は「損得『だけ』で考えてはいけない」が正しいです。
大いに損得を考え、加えて将来のリスクをよく考えるべきです。

DIAMOND Onlineの記事も、最初に「損得ではない」と言っておきながら、そのあとに損得の話になっています。

夫婦で年金を受け取る場合の一つの有力な方法は、「夫の年金は通常の65歳から受給を始め、妻の年金は最長の75歳まで繰り下げる」というやり方である。この方法が良いと思われる理由は三つある。
(1)長生きする可能性が高い妻の老後年金収入を最大限手厚くできる
(2)遺族年金は夫が65歳時点での金額がベースとなるため、「夫の繰り下げ」はそれほどメリットがない。
(3)年の差が大きい夫婦の場合、夫が厚生年金を繰り下げると年間39万円ほどの加給年金を受け取ることができなくなる。
(理由については少し要約しました)


年金はほとんどの高齢者にとって一番の安定収入です。
それぞれが全力で損得を考えるべきでしょう。