楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏は、若者と高齢者の資産運用方法は同じでいいと言っています。
資産運用において「高齢であること」の意味(トウシル)
高齢であるということ自体は適切な運用方法に対して大きな影響を持たない。
個人投資家の資金サイズと取引コストを考えると、2、3年以上の運用期間がある場合、今後運用する期間がせいぜい向こう5年程度なのか、30年、40年とあるのかという条件の違いは、最適な運用方法に対して大きな影響力を持たない。どちらの場合も、当面2、3年について良さそうな運用を積み重ねて行くといい。
個人によって同じ年齢でも人的資本の大きさが異なるし、保有する金融資産の額も異なるのであって、金融資産の中で保有するリスク資産の量は、「比率」で考えるのではなく、個人個人が「額」で決めることが適切だ。
また、別の要素として、高齢者は、人的資本が小さい代わりに、将来支払わなければならない金額の現在価値(いわば「人的負債」)の価値も小さいので、総資産の中でのリスク資産保有(先の図では株式保有)のインパクトが、将来のお金の必要性に対して、必ずしも大きいわけではない。
1番目は投資の対象、2番目と3番目はリスク許容度の話、であり、それぞれ若者と高齢者で考え方は同じでいいという主張です。
これはその通りだと思います。
しかし、若者と高齢者には大きな違いがあります。
それは、残された時間と、いますぐ取り崩す必要性の有無です。
若者が40年積み立て、その後20年かけて運用しながら取り崩すなら、当面は積み立てることだけを考えればいいです。
だから、全世界株のインデックスファンドを買って積み立てれば、40年間に渡って配当が得られ、さらにそのどこかで急騰する場面があって、大きく利益を上げられる可能性が高いというのはわかります。
一方、高齢者は今すぐ運用しながら取り崩すことになります。期間は20年くらいしかありません。
さらに、老後をアクティブに過ごせる最初の10年が重要です。
最初の10年はマイナスで次の10年は大きくプラスになった、というのでは老後を楽しめません。
次の10年では認知症になる可能性があり、そうなったら運用はできません。
だから、目先を重視したやり方にならざるを得ません。
米国株はバブルかもしれない、日本株はこれ以上伸びないかもしれない、よくわからない、となれば、当面投資しないという考え方もあると思います。