「週刊ポストGOLD」は、週刊ポストの特集をまとめたムック本です。健康、年金、相続といったテーマが多いです。
医者の何を「嘘」と言っているのかというと、
1.健康診断の数値に11個の嘘がある、本当の健康基準値が7個ある
嘘だと言っている人は、
東海大学医学部名誉教授 大櫛陽一氏
嘘の詳細は、
血圧の基準値が年々下がっている
血糖値の保健指導の値は低すぎ、受診勧奨の値は高すぎる
コレステロールの基準値が低すぎる
嘘だと言う理由は、
世界の基準より厳しすぎる、製薬業界の働きかけがある
嘘だという根拠は、
大櫛氏が70万人を調査して本当の健康基準値がわかったから
2.本当は飲まなくていい薬25個
嘘だと言っている人は、
薬剤師 長澤育弘氏
嘘の詳細は、
降圧剤、糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬、高尿酸血症治療薬、解熱鎮痛消炎薬、胃腸薬、骨粗しょう症治療薬、抗菌薬、逆流性食道炎の胃腸薬は飲まなくていい
嘘だと言う理由は、
副作用がある
嘘だという根拠は、
米国のいろいろな学会、協会がそう言っている
ただし、小さい字で「病状と条件次第で」と書いてあります。
3.本当はいらない検査25個
嘘だと言っている人は、
医療経済ジャーナリスト 室井一辰氏
嘘の詳細は、
胃のバリウム検査、胃カメラ検査、胸部レントゲン検査、便潜血検査、大腸カメラ検査、PSA検査、心電図検査、視力検査、は不要
嘘だと言う理由は、
放射線を浴びるなどのデメリットがある
見落とし、見誤りがある
嘘だという根拠は、
米国のいろいろな学会が否定している
ただし、小さい字で「病状と条件次第で」と書いてあります。
4.受けなくていい手術11個
嘘だと言っている人は、
医療ガバナンス研究所理事長 上昌弘氏
嘘の詳細は、
前立腺がんの手術は不要
嘘だと言う理由は、
合併症とQOLの低下があるのに、60代の5年生存率はステージⅢまでは手術をしてもしなくても100%で変わらないので手術をする意味がない
嘘だという根拠は、
全国がんセンター協議会の「生存率協同調査2022年11月集計」
まず疑問なのは、専門医でもない、医学部名誉教授、ジャーナリスト、研究所理事長、の言う意見だけで嘘と断定していることです。
嘘だと言うなら専門医と議論して正常化させればいいのに、なぜそうしないのでしょうか。
次に、嘘だとする根拠の多くが米国の学会論文であることです。
確かに一つの重要な意見ではあるでしょうが、他の意見もあるはずです。
日本の学会も厚生労働省もその情報は十分認識しており、理解した上で基準を設定しているはずです。
そして、「条件が揃えば」とわかりにくく小さく書いています。
大見出しでは「受けなくていい」「やらなくていい」と威勢よく書いてありますが、本文をよく読むと、「条件が全部揃えば」「条件次第では」という前提条件が書いてあることが多いです。
本文をよく読まない人は「受けなくていいんだ」「やらなくていいんだ」と勘違いしてしまうかもしれません。
条件が揃えば不要なのは当たり前です。
もし条件が揃うのが数%しかないなら、逆にほとんどの場合は必要だということになります。
前立腺がんは進行が遅いので、60代なら20年以上の生存を目指して治療を検討します。
だから5年生存率の数字を持ち出すことは間違っています。
編集部は記事が不正確で偏っていることがわかっていると思います。
だから問題にならないよう、小さい字で「条件が揃えば」と書いています。
このような本が存在する理由は、こういう記事を求めている人がたくさんいて、売れるからだと思います。読者が喜びそうなことを並べ、特集記事を作っているように見えます。
こういう情報を、不正確で偏っている、間違っている、と見抜く目を持つことが重要だと思います。
難しいですが、もし見抜けなければ自分の健康と命が被害を受けてしまいます。
老後に最優先で必死になってやるべき勉強でしょう。