YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

和田秀樹氏の本「60歳からはやりたい放題」を読み解く

このところ本屋で和田秀樹氏の本をよく目にします。

70代、80代向けの健康関係の本が多く、かなり売れているようです。

中には60代が対象になっているものもいくつかあります。
その内容にはかなり疑問があります。

60歳からはやりたい放題(2022/9/2)

試し読みの前書きはざっとこんな感じです。
・日本人は、歳を取るごとに不安になり、節制し、備えなければと考えるようになる
・私はその考えには反対で、60代からは「やりたい放題」に生きるべき
・そうすることで若さを保ち、頭を鈍らせない
・不安への対処法は、それが起きた時の具体策を考えておくこと
・老いは避けられないので上手に付き合う
・現場で得た結論は、予防医学、我慢を強いる健康法は老化を速めてしまうということ
・ダイエットするより、好きなものを楽しむ方が長生きできる
・自分に我慢を強いてチャレンジをやめることによる「心の老化」が恐ろしい
・若くて体力も柔軟性もある60代から、徐々に老いについて知っておくことが望ましい


疑問なのは、

▼第1章:60代以降は「嫌なことはやらない」
・「嫌なことはやらない」のが、60代以降の鉄則

⇒やるべきことはやるべきです。わがまま老人になってはいけません。嫌なことにもチャレンジすべきです。自由に生きることは、自分勝手に生きることではありません。

 

▼第2章:好物を食べれば脳も体も健康に!
・塩分不足は命を左右する
・60歳以上ならばタバコはやめなくていい

⇒もともと塩分を取り過ぎだから控えるのは当たり前の話です。
⇒タバコは体にいいことは何もありません。死ぬ間際なら思い切り吸ってもいいかもしれませんが、あと20年30年の人生があるかもしれない60代には当てはまりません。
生活習慣を改善した方がしないより健康になるはずです。改善しなければそれなりの健康状態になるだけです。

 

▼第3章:「新しい体験」で前頭葉も活発に
・スポーツはやりすぎないほうがいい

⇒フルマラソンだったらやり過ぎかもしれませんが、60代ならきついトレーニングをやるべきです。

 

▼第4章:良い医師や病院の選び方とは?
・健康診断を受ける価値はない
・健康診断の数値が正しいのかを証明する証拠はない

⇒健康診断で自分の現状を知り、事実を受け入れることは大事です。
⇒数値は科学的に認められた測定装置で計測した結果であり、素人が疑う余地はありません。その数値がどういう意味なのかは、その後の専門医による診察で判断すべきことです。


なぜこんなおかしなことを言うのだろうと最初は不思議に思っていましたが、読んでいくうちにだんだんその理由がわかってきました。

和田氏の主張は、体の健康だけにこだわらず心の健康も重視すべきということです。彼は精神科医なのでなるほどと思います。

体を健康にするために検査、治療、食事制限、行動制限をしても、それで心の健康を損なってしまってはかえって悪影響を及ぼします。

思い切って検査、治療、食事制限、行動制限をやめてしまい、それで精神状態が改善するなら、そちらのほうがいいというのは一理あると思います。


しかし、これはおそらく多くの団塊の世代の70代、戦前生まれの80代にヒアリングしてきた経験にもとづいた結論だと思います。

70代、80代になったらこうすべきということであり、年齢的にも世代的にも、いまの60代には2重に当てはまらないと思います。

今の60代はこれを真に受けてはだめで、一部を取り入れるとしても75歳くらいになってからではないでしょうか。