YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

「ドキュメントがん治療選択 崖っぷちから自分に合う医療を探し当てたジャーナリストの闘病記」を読み解く

ドキュメントがん治療選択 崖っぷちから自分に合う医療を探し当てたジャーナリストの闘病記 金田信一郎 著

DIAMOND Onlineの記事もあります。
病院任せのがん治療から逃げ出し、手術を回避。だから、生き延びた

これは、食道がんになったジャーナリストの金田氏が、最終的に標準医療ではない放射線治療を選択する経緯を描いた本です。


金田氏の経歴
1967年生まれ、「日経ビジネス」記者・ニューヨーク特派員、日本経済新聞編集委員を経て2019年に独立

がんの状況
・食道の下と真ん中に大きい突起が2つ、喉の下にも1つ突起がある、進行の食道がん
・ステージⅢ

経過
・突然の嘔吐があり地元のクリニックで胃カメラを入れると食道にがんが見つかった
・東大病院を紹介され、治療が始まった まずは強烈な抗がん剤を5日間連続で投与
・病状も治療も納得できる説明がない
・おかしいと感じ、紹介状をもらってセカンドオピニオンを求める
・がんセンターの最高の名医に辿り着いた
・だが、「手術でいいのか?」という疑問が沸く
・同じ食道がんの手術をした先輩から、手術後の話を聞かされる
・偶然知った放射線の名医から「できる」と言われ、放射線治療に切り替える
・同じ時期にガンの闘病をした友人が、病院が示す治療を拒否して半年で命を落とした


DIAMOND Onlineの記事の「だから、生き延びた」というのは間違いです。
手術でも生き延びたはずだからです。
逆に手術をしなかったために、より短期間で再発するかもしれないし、放射線の副作用で別の問題が起こるかもしれません。


それ以外にもこの治療の決定プロセスに多くの疑問があります。

1.標準治療の手術でなく、放射線治療を選択したこと

標準治療は、抗がん剤治療のあと手術となっています。

食道がん 治療(がん情報サービス 国立がん研究センター)

Ⅱ期・Ⅲ期の標準治療は、治療前に体の状態を調べて、手術ができる体の状態である場合には手術が第一選択です。その中でも、まず、細胞障害性抗がん薬を用いた化学療法を行ってから手術をする方法が標準治療とされています。

 

それなのに放射線治療を選択した理由は、

(DIAMOND Online p.3)

術後の生活が不自由になる食道全摘手術を土壇場でやめて、自分の生き方に合っていると判断した放射線治療を選びました。

ということです。

放射線治療が標準医療でないということは、放射線が全体として手術より効果が低いからだと思います。

本来重視すべきなのは、どの治療法が最も延命効果があり、かつQOL(Quality of Life)も保たれるかですが、延命よりも当面の生活を重視したようで、これが「自分に合う医療」ということのようです。


2.コミュニケーションを最重要視する

(DIAMOND Online p.2)

編集 「途中で転院しようと思った最大の理由はなんだったのでしょうか。」
金田 「医療のベルトコンベアに乗せられて、モノのように扱われているような感覚だったんです。」

東大病院で私の主治医は病院長の瀬戸先生だったけれども、執刀医が誰になるか分からない不安も大きかったですね。「この医者に自分の手術を任せても大丈夫だ」と思えなければ、治るイメージが持てませんから。転院の一番の決め手になったのは、その点ですね。

 

重要なのは医師のチームに最高の結果を出してもらうことだと思うのですが、医師の人柄やコミュニケーション能力のほうが重要と考えているようです。


3.専門家でもない周りの知り合いのアドバイスにしたがう

(Amazonの試し読みより)

なぜコロナが蔓延している中で千葉に行こうとしているのか、それは大串さんをはじめとした千葉の経営者たちと深い付き合いを続けてきて、いわば”家族”のような存在だったからだ。「金田さん、とにかく医者と病院は自分で選ばないとダメだから」大串さんは電話口でそう繰り返した

 

知り合いが信頼できる人であっても、そのアドバイスが正しいかどうかわからないし、そのアドバイスが正しいとしても、金田氏に当てはまるとは限りません。


目先の合併症回避を最優先にしたことにより、将来のリスクを高めてしまったと思います。

他にもこういう考え方を持つ人が多いようです。

どうしてこうなってしまうのか、その理由を調べる必要がありそうです。