楽天証券客員研究員の山崎元氏が自身のがんの治療について記事にしています。
山崎元、癌になってみて考えた。「どうでもいいこと」と「持ち時間」(トウシル)
治療と投資は似ている、という視点が興味深いです。
1.「楽に結果が得られる治療法」は「楽に儲かる投資法」に似ている
世間には「標準治療ばかりが癌治療ではない」という意見があり、~治療の選択肢の中には、「上手く行ったケースが過剰に強調されているもの」や「楽に結果が得られそうで魅力的なもの」などがあり、~この辺りの情報の価値と判断する側の心理の関係は投資の世界によく似ている。「素晴らしい実績のアクティブ・ファンド」や「容易に儲かる投資のノウハウ」のようなものが、つい魅力的に思える場合はあるのが生身の人間としては普通だろう。
ゲームの裏ワザ情報を求めたように、楽なやり方があるのではと期待し、ありますよと言われるとつい信じてしまう、というのが人間だということです。
2.最初に正しい知識とノウハウを持つことことが必要
初期の段階で正しい知識とノウハウに接して理解するのか、誤った知識を先入観として持って回り道をするのかで「大差」が生じてしまい、時には回復不能の状態に陥ることもある。
最初に勉強をせず、楽に結果が得られる治療法、楽に儲かる投資法、といった間違った知識を持ってしまうと、大損したり、取り返しがつかないことになったりする、ということです。
3.病気の現状はサンクコスト(埋没費用)である
サンクコストとは、「事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力(Wikipedia)」のことです。
こう考えることで、どうして癌に罹ったのか、どうしてもっと早く見つけることが出来なかったのか、等の「後悔」をあまりせずに、治療上やれることをやって、使える時間を有効に使おうと気持ちを切り替えることができるそうです。
投資で失敗したときに、「あの時あれをしていたら」「これをしていれば」と思い悔むのではなく、損切りなどして次の手を考える、というのと同じです。
自分の命の次に大切なお金の扱いが上手な人は、自分の命の扱いにも上手である、ということなのでしょう。