4月の法律改正以降、多くのメディアが年金受給を遅らせて増やすメリットを説いています。
75歳からの受給だと84%アップになり大幅に増やせるので運用にもなる、という書き方です。
国はなぜこんなに支払いを増やす制度を、わざわざメディアでキャンペーンをさせるかのようにして推進しているのでしょうか。
それは、年金受給額を上げることによって健康保険料、介護保険料、所得税、住民税を取りやすくしたいからだと思います。
そうすれば、将来、財政的に必要になったときに健康保険料、介護保険料、所得税、住民税を天引きでもっと多く取ることができます。年金受給額が少ないと取ろうとしても取れません。
さらには、住民税非課税世帯を減らしたいという理由もあると思います。
住民税非課税世帯からは健康保険料、介護保険料を多くとれません。
この作戦にはまってはいけないと思います。
高齢者は、年金収入、勤労収入、資産運用収入をミックスさせて収入減少リスクの分散を図るべきです。
年金収入は死ぬまで一定です。勤労収入はいずれゼロになります。資産運用収入は不安定です。
65歳から貯金を取り崩して生活し、年金受給を遅らせて増やすことは、自分の収入の国への依存割合を高めることになり、リスクが高くなってしまいます。
年金額が平均以上の特に男性は、税金を増やさないよう早めに受給すべきです。
年金額が平均よりかなり少ない特に女性は、繰り下げしてもいいかもしれません。この場合も、健康保険料、介護保険料、所得税、住民税がどのくらい増えるのか、住民税非課税世帯から外れてしまわないか、をよく検討すべきでしょう。