YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

日経ビジネスのシニアのアンケート結果を疑う

給料4~6割減が過半、生活のためが6割、定年後再雇用の厳しい現実

アンケート調査概要

「定年後の就労に関する調査」
2021年1月14日から21日にかけて、日経BPコンサルティングが40~74歳を対象にインターネット上で実施。2368人から回答を得た。回答者のうち40代は5.2%、50代は22.1%、60代は72.2%、70代(74歳まで)は0.5%。定年後働いている/働いた経験があるのは51.9%、定年後働いていない/定年前は38.4%。男性は82.1%、女性は17.9%

 

 2368人というのは大規模であり、ある程度信頼性が高いと思います。
 50代までが27.3%で646人、60代以降が72.7%で1722人ということになります。

 

■「定年後の勤務先や働き方」というグラフについて

 「定年前と同じ会社」が約65%だから「再雇用が6割以上」と解説していますが、「定年前の勤務先の子会社やグループ企業」も再雇用と同じなので、合わせて「再雇用が75%」と書くべきです。

 そしてこの記事は時系列の考慮がありません。

 「複数回答可」とあるため、おそらく実際は75%が再雇用で働きはじめ、再雇用は一般的に5年なので、その後は再就職、パート・バイト、リタイアしたと思われます。

 このグラフは「定年後の働き方」というよりは、「60代の働き方」のデータになっています。


■「定年後も働く理由」のグラフについて

 「定年後も働く理由」を聞くなら60代の前半と後半を分けるべきです。もらえる年金額によって状況がまったく違うからです。

 60代前半は年金がゼロか、もらえても一部なので「生活資金のため」に働くのが当たり前です。60代後半になるとそれ以外の理由が多くなります。

 このグラフは60代前半と後半を混ぜたために、ぼやけた結果になっています。


■「定年後に働く上での不安」のグラフについて

 回答者数が982人ということは定年後の人も混じっており、この結果が「将来、定年を迎えた後に働く上での不安」なのか「定年後の今、感じている不安」なのかわからなくなっています。

 60代にアンケートしているのだから実際にどうなのか聞いてみれば答えがでるはずで、若い人の不安だけを強調するのはおかしな感じがします。

 オフィスワークなら体力はあまりいらないし、記憶力・学習能力の衰えや経験・スキルが時代に合わないことも定年前後でほとんど変わりません。
 待遇が悪くなることで気力がなくなるくらいです。


■「何歳まで働きたい・働くことになるになると思うか」「70歳定年制の賛否」のグラフについて

 「何歳まで働きたいか」は権利、「何歳まで働くことになると思うか」は義務であり正反対のものです。
 それを混ぜて聞いても、ある人は権利を得るのはありがたいと思って回答し、ある人は義務を負うのはごめんだと回答し、それを混ぜてよくわからない結果になっています。

 40代50代の多くは定年を義務だと勘違いしているようです。よくわかっていない人に聞いても的確な答えは返ってきません。

 もし聞くなら、
 「年金支給が70歳からになったとします。
  今の会社で正社員として70歳まで働けるなら働きたいですか、(70歳定年の賛否)
  そして最終的に何歳まで働くことになると思いますか。(いつまで働くか)」
 と聞くべきです。


 この記事を書いた記者は30代後半のようです。週刊SPAと同じく、定年の記事を書く現役世代の記者は60代の働き方の理解が全く足りないし、想像することもできていないと思います。