YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

定年後に起業を勧めるからくりを説明します

 サラリーマンが定年になってから事業を始めるのはほぼ100%無理だと思います。
 サラリーマンはそういう才能がないからサラリーマンをやっているわけであり、起業でやれる人は定年前からすでにやっていて、成功した人は定年前に会社をやめているはずです。

 それなのに、なぜ定年後に無理筋の起業を勧める人が多いのでしょうか。

 ひとつは、勧める人が起業していて お前も俺のように起業しろよとマウントを取っているものがあります。フィナンシャルプランナー、社労士、人事コンサルタントなど、元サラリーマンで若い時に独立したような人達です。

 でもこれだと万人に当てはまるものではなく、説得力はありません。

 ふたつめは商売で勧めているものです。起業コンサルタントが起業を勧めるのは商売のためなので、単なる広告になります。これも説得力はありません。

 三つ目は本やWeb記事を書きやすいというのがあると思います。起業は夢があってストーリーを描きやすく、やることがたくさんあって頑張れることがたくさんあります。

 起業が難しいことは分かっていて「月5万を目指そう」とハードルを下げる本や記事もあります。でもそれだと60代前半の年金なし世代の生活費には全く足りません。

 65歳以降に年金をもらった上でこづかい稼ぎとしての起業となると話は別で、有り余る時間をつぎこんでどうやって月5万稼ぐかという話になります。

 でもこれだと週3日、1日4時間のバイトで得られる給料とほぼ同じになり、そのビジネスをやる意味があるのかという疑問が出てきます。

 それよりも月5万節約する方法を考えるほうが簡単かもしれません。

 四つ目は、起業を勧める人に年金と貯金とたっぷりの企業年金があると思われることです。

 再雇用で最下層で働くのはやりたくない、でも働きたい、上の立場で仕事をしたい、それなら起業しかない、起業できるなら収入がゼロでもかまわない、ということでしょうか。
 これだともはや趣味、道楽となります。

 道楽で起業というならわかります。対価ゼロで仕事をしますよと言えば仕事はあるでしょう。でもこれをやると他の若い起業家の邪魔をすることになります。


 道楽での起業なら年金のない60代前半では選択肢になりません。
 60代後半以降で厚生年金をもらえるようになっても、企業年金がどんどん少なくなっている現状では、確実に家計の足しになるバイトをすべきかもしれません。

 道楽で起業する時代は終わったのではないでしょうか。

 「定年後は再雇用で昔の部下に頭を下げるより、思い切って起業すべき」だと先輩に言われたら、「いやいや時代が違いますよ」と言うべきです。

 これからの世代は先輩や専門家の言うことを真に受けず、世の中の状況、自分の資産と年金額と能力をしっかりと分析して判断すべきだと思います。