自分が新卒で入社した40年くらい前は「コミュニケーション能力」という言葉はなかったと思います。
気が付いたらもっとも重要なスキルだということになってきており、一過性のブームではなく完全に定着し常識のようになっています。
新卒社員に求めるべきものは学力、ITリテラシー、語学力といった基礎的な能力、創造力のようなおじさんには足りないもの、といったところではないでしょうか。
なぜ大学出たての若者にコミュニケーション能力を求めるのでしょうか。
ここ数十年の間に個性が大事にされるようになり、考え方のばらつきが増えてきたと思います。
考え方の違う社員が増えてきたなら上司がコミュニケーション能力を高めて、そのばらつきに対応すればよかったのですが、忙しいのにそんなことはやってられないのでしょう。
自分たちが合わせるのではなく、若者が自分たちに合わせて欲しいと考える気持ちはわかります。
採用の場面では「自分が一緒に働きたいと思える人を採用したい」ということを聞きます。
本来バラバラな個性を持っているのに、コミュニケーション能力によって上司に合わせられる人が採用されやすくなっていると思います。
若者がコミュニケーション能力を持つことは悪いことではなく、いいことです。
しかし若者にはできるだけ創造力を発揮して欲しいし、いろいろな勉強をして欲しいし、語学力もコツコツと磨いて欲しいと思います。
それなのに、上司とのコミュニケーションを深めることが最優先になり、それに労力を使い、上司の手足に特化し、それで進化してしまっています。
若者にコミュニケーション能力を求めた結果、逆に経営者、管理職のコミュニケーション能力は低下していると思います。
若い時には能力があったはずですが、自分からコミュニケーションすることが面倒になりやらなくなるとだんだん能力が衰えてしまいます。
特に部下に対するコミュニケーション能力が向上しないままとなります。
45歳定年と言っておいて言い方が悪かったと言う経営者はまさにこれではないでしょうか。
普段からいろいろな考えを持つ人に自分からコミュニケーションしていれば、反発されることは容易に理解できたはずです。
あるいは、経営者・管理職はコミュニケーション能力が低いの当たり前だ、という常識感覚を持つべきかもしれません。