2021年4月1日に70歳まで働ける法律が施行されたことにより、「定年消滅時代」という言葉が目に入るようになってきました。
多くの人は「定年」イコール「リタイアする年齢」という認識を持っているようですが、これは間違いで、「定年」は企業が正社員を合法的に解雇できる年齢です。
定年が消滅したら会社はいつまでも解雇できなくなってしまい、ありえません。
とはいえ、世の中では「定年消滅時代」は「生涯現役で働かなければならない」のような意味で使われ始めているようです。
誰が言い出したのかわかりませんが、2019年12月11日に「定年消滅時代~」という本が出ていますのでおそらくこれが最初でしょう。
定年消滅時代をどう生きるか (講談社現代新書)
Amazonの内容紹介をまとめると、「将来は75歳まで働くことになるので能力開発が不可欠であり、そのためにはITの力ではなく読解力や論理力などの基本的な能力を身に着けるべきである」となるでしょうか。ちょっと抽象的で現実離れした内容です。世の中に流れているいろいろなトピックスを集めたような感じです。
その後、週刊東洋経済で特集されています。
来年4月から「70歳定年法」がスタート。70歳現役社会の幕開けは「定年消滅」へのカウントダウンでもある。もう準備はできていますか?(2020年10月17日号)
大前 研一さんもこの流れに乗って本を出しています。
稼ぎ続ける力: 「定年消滅」時代の新しい仕事論 (小学館新書) - 2021/4/1
このように、世の中が高齢者をできるだけ長く働かせようとしている中、我々はどうすべきでしょうか。
60歳以降に働く目的は、年金を補うことと健康のため、あるいはそれがやりたいためであって、あくまで我々が決めることです。
60歳以降であれば、最大24%カットされますが年金を繰り上げて受給できます。その年金と貯金を合わせれば、かなりの割合の人が働かなくても暮らしていけるはずです。
できるだけ生活費を下げて働かなくても生活できるようにしたうえで、もう少し余裕を持ちたいと思えば少し働き、あるいはやりたい仕事があればやり、なければやらないというように、働く側が主導権を握るようにしたいものです。
「生涯現役で働かなければならない」というのも間違いで、働くかどうかはこちらで決めさせてもらたいと思います。