定年までに住宅ローンを片付けるべきだという考え方があるようですが、それはちょっと違うのではないかと思います。
60代の1割以上が住宅ローンを残している。残高は「500万円以上」が最多(シニアガイド)
「定年になっても、住宅ローンの返済が終わっていない」というのは、住宅ローンを抱えている人に共通する悪夢です。
「定年までに住宅ローンを片付ける」ことを目標にして、資金に余裕があるうちに、返済計画の見直しを進めてください。
お金がなくて定年までに完済できないなら、引き続き頑張って返すだけであり、選択の余地はありません。
問題なのは、貯金と退職金がそこそこあった場合に、定年までに可能な限り返済するかどうかです。
定年時に住宅ローンを完済するというのは金利が高い時代の古い考え方であり、金利が低い今には当てはまらないと思います。
もし住宅ローンの金利が1%であり、定年時の貯金と退職金を1%で運用できるなら、繰り上げ返済する必要はありません。退職金を企業年金としてもらう方法もあり、これだとおそらく1%を超えます。
さらに住宅ローンは死亡した場合に消滅するので生命保険としても使えます。
そのことを指摘する人もいます。
住宅ローンの新常識 「借金は死ぬまで残ってもいい」(マネーポスト)
この話題の元の記事は日本経済新聞(10月5日付朝刊)の「住宅ローン 完済年齢上昇 平均73歳、年金生活不安定に」のようです。この記事には資産を持ち、住宅ローンをあえて繰り上げ返済しないという発想はありません。世の中、住宅ローンの返済に窮している人ばかりではないと思います。