Webの記事でタイトルに「70歳定年法」「70歳定年制」とつけられているものを見ることがあります。
健康なシニアは働く時代へ、70歳定年法の留意点(週刊東洋経済Plus)
70歳定年制とは――2021年4月から企業の努力義務に(日本の人事部)
これらは今年2020年3月31日に成立した「改正高年齢者雇用安定法」について書かれているものです。
「70歳定年法」は明らかに間違った表現であり「70歳就業確保法」などと言うべきです。厚生労働省のサイトではわざわざ「※この改正は、定年の70歳への引上げを義務付けるものではありません」と赤字で強調しています。
高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
定年というのはその年齢まで会社が解雇できない、正社員であれば正社員として雇用しなければならないということです。「70歳定年」だと70歳まで解雇されないので、労働者にとっては大歓迎、会社にとっては絶対反対、という制度です。
若い人は定年の意味がよく分かっておらず、「70歳定年」と聞くと、「70歳まで働かされるのか」と誤解し怒りがわくようです。定年まで雇用することが会社の義務であること、労働者はいつでもやめる権利があること、を理解していません。
記事を書いている人は分かっていて、キャッチーな「70歳定年」の表現を使っているのでしょうが、よく分かっていない人を誤解させるのはだめでしょう。