YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

60歳で資産が3000万円ある人が死ぬまでにお金を使い切る方法を考えてみました

60歳を起点に考える理由は、退職金をもらい資産が最大になるからです。
資産を3000万とする理由は、このくらいないと使い切りを考える意味がないからです。

・余命は25年とする
・長生きリスクと早死にリスクを考える
・65歳までは再雇用で働いて資産を減らさない
・妻には遺産を残さない 70歳まで年金を繰り下げてもらい、妻の国民年金と夫の遺族厚生年金で生活してもらう

以上を前提として、

・病気、介護、リフォームに備えて1000万残す 何もなければそれが遺産となる
・65~75歳の10年で年金とは別に毎年200万、計2000万を使い切り、人生を充実させる
・75~85歳の10年は年金だけで暮らす おそらく旅行・グルメはできなくなる

老後の前半に支出を集中させることで、早死にリスクに対応します。
老後の後半以降は年金だけで生活できるようにし、長生きリスクに対応します。
自分の死後も妻が年金だけで生活できるようにします。

こうすれば、残る課題は65~75歳で毎年200万を何に使うかだけです。

証券業界の人が老後にお金を使い切る方法を提案するのは難しい

DIE WITH ZEROに影響されてか、このところ、老後にどのようにお金を使い切るかをテーマにした本が出版されるようになってきました。

60代からの資産「使い切り」法 今ある資産の寿命を伸ばす賢い「取り崩し」の技術(野尻哲史 著)
90歳までに使い切る お金の賢い減らし方(大江英樹 著)

著者は二人とも証券会社出身です。

Amazonの星1つの評価はそれぞれ、

「要は金額でなく年4%で解約しろという本の表紙以上の教えはなかった。」

「金融のプロが書いた「90歳までに使い切る減らし方」の本というからには、どのくらい減らしても良いのかの見通しの立て方の本かと思いましたが、そのような情報は見当たりませんでした。」

です。


証券業界の人は、どうしても運用する話になってしまうようです。

老後にお金を使い切るというのは生き方の問題であり、運用は関係ありません。運用すれば、しないより使える金額が多くなる可能性があるだけです。

お金を使い切る方法は、自分で考えるしかないようです。

 

世の中の投資の情報は若者向けに片寄っています

一般的に高齢者の方がお金を持っており、高齢者が投資の主役であるはずです。
しかしなぜか世の中の情報は若者向けに片寄っています。

iDeCo、NISAをどう使うか、どのように積み立てるか、どの投資信託を買うかというのは若者向けの情報です。

これに対して高齢者向けの情報にはいいものがありません。

よくある高齢者向けの情報は、

1.50代、60代からの資産形成

若者向けのノウハウが50代、60代も応用できるというものですが、50代は教育費がかかるのと、給料が下がり始めるので、積み立てはかなり難しいです。
60代はさらに給料が下がるので、積み立てはさらに難しくなります。
高齢者なら運用しながら取り崩しも考えるべきですが、そういう情報はほとんどありません。


2.退職金の運用をどうするか

たいていは、一般論を説明したあとで銀行・証券会社の窓口にご相談くださいとなっています。
相談したら、販売手数料と信託報酬が高いのに実績が伴わない投資信託、ハイリスクローリターンの仕組債、毎月分配型ファンド、を売りつけられるのは目に見えています。


3.高齢者は投資をやるな

ハイリスクローリターンの金融商品で大損をした高齢者、投資詐欺にあった高齢者の例を挙げ、投資を否定しています。


高齢者向けの情報は種々雑多で誰の言うことを信じればいいのかわからない状況だと思います。
高齢者は、高齢者向けの一般的、標準的な情報がないことに気づくべきです。
だから、情報を収集する際に気を付け、自分で考える必要があります。
自分で考えられない、わからないというなら、投資はやらないという選択もいいと思います。

 

高齢者には長期投資は不向きです

第1の理由は、余命が短いからです。

運用期間がせいぜい20年と短いです。
今から20年は運用がうまくいかず、その次の20年で絶好調になる場合、若者の長期投資は成功しますが、高齢者は失敗することになります。


第2の理由は、高齢者にとって最初の10年は次の10年より重要だからです。

最初の10年はマイナスで次の10年は大きくプラスになった、というのでは老後を楽しめません。
次の10年では認知症になる可能性があり、そうなったら運用はできません。
死ぬ間際で高騰しても意味がありません。

だから高齢者にとっては、目先の結果が重要になります。


第3の理由は、空き時間がたっぷりあるのに何も考えないで長期投資をするのはもったいないからです。

高齢者は勉強する時間がたっぷりあります。
政治・経済を勉強する、国際情勢を追う、世の中の動きを追う、企業分析をする、相場を追う、考える時間がたっぷりあります。
それなのに、何も考えずに長期投資するのはもったいないです。
それはチャレンジしないことです。

リスクをとりたくない、チャレンジしたくない、何も勉強したくない、よくわからない、というなら、何もせず、資産を着実に取り崩して有効活用するのが一番です。

 

「長期投資」とは何か

「長期投資」とは、短期間で売買をくり返すことなく、長期にわたって金融商品を持ち続ける投資のことです。 投資期間が長くなるにしたがって、投資の平均収益率は安定していく傾向にあります。(みずほ証券)

 

長期投資がおすすめな理由は何ですか?
長期投資であれば、日々の値動きに一喜一憂する必要もないため、精神的にも楽に投資を継続できます。 値動きに張り付かなくて済むということは、本業を持つ会社員でも始めやすい投資方法といえます。 つまり長期投資は、参入障壁が低いということも利点です。(TOHSHIN PARTNERS)

 

「長期投資」は、一般に数年~数十年程度の期間で投資を行うことを指しますが、「○年以上が長期投資」といった明確な定義はありません。(京葉銀行)

 

長期投資のメリットは、「複利効果」で効率的に資産を増やせる、日常的に投資対象の価格を気にしなくていい、「積立投資」で自動的に投資を行える、売買手数料があまりかからない、初心者でも始めやすい(三菱UFJフィナンシャル・グループ)

 

「価格が下がって損をするのが嫌」「買いや売りのタイミングがわからない」「働きながらの資産運用は大変」など投資に対しての不安はさまざまあると思います。そんな不安も、資産運用の王道と言われる「長期・積立・分散」の3つの投資手法を知っていれば、上手に付き合っていくことができます。(りそな銀行)

 


長期投資とは、相場に関わらず長期に渡って金融商品を持ち続けることです。
たいていは、積立投資と分散投資がセットになっています。
つまり、定期的に全世界を対象とした投資信託のような金融商品を買い続けることで、銘柄の分散、国の分散、タイミングの分散ができ、複利効果もあって最終的に安定的な収益が期待できる、ということでしょうか。

これはかなり大雑把な手法です。
バブルでも売られ過ぎでも買うし、円安でも円高でも買う、相場観を持たないでひたすら買う、というやり方です。
知識のない人がへたに売買して失敗するよりも、機械的に買うほうがましであり、市場全体の成長と配当に期待するという考え方です。

政治・経済を勉強する時間、その動きを追う時間、企業分析をする時間、相場を追う時間、がない人は何も考えなくていいこのやり方がいいし、確実だと思います。

しかし、思考停止のような状態で行動するのは不安に感じないのでしょうか。
自分では気づかずに思考停止しているなら仕方ないですが、自ら考えないようにするというのは自分が成長しないし、あまりいいやり方でないと思います。

 

若者向けと高齢者向けの資産運用の考え方は違うものだと思う

楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏は、若者と高齢者の資産運用方法は同じでいいと言っています。

資産運用において「高齢であること」の意味(トウシル)

高齢であるということ自体は適切な運用方法に対して大きな影響を持たない。
個人投資家の資金サイズと取引コストを考えると、2、3年以上の運用期間がある場合、今後運用する期間がせいぜい向こう5年程度なのか、30年、40年とあるのかという条件の違いは、最適な運用方法に対して大きな影響力を持たない。どちらの場合も、当面2、3年について良さそうな運用を積み重ねて行くといい。

個人によって同じ年齢でも人的資本の大きさが異なるし、保有する金融資産の額も異なるのであって、金融資産の中で保有するリスク資産の量は、「比率」で考えるのではなく、個人個人が「額」で決めることが適切だ。

また、別の要素として、高齢者は、人的資本が小さい代わりに、将来支払わなければならない金額の現在価値(いわば「人的負債」)の価値も小さいので、総資産の中でのリスク資産保有(先の図では株式保有)のインパクトが、将来のお金の必要性に対して、必ずしも大きいわけではない。


1番目は投資の対象、2番目と3番目はリスク許容度の話、であり、それぞれ若者と高齢者で考え方は同じでいいという主張です。

これはその通りだと思います。


しかし、若者と高齢者には大きな違いがあります。
それは、残された時間と、いますぐ取り崩す必要性の有無です。

若者が40年積み立て、その後20年かけて運用しながら取り崩すなら、当面は積み立てることだけを考えればいいです。

だから、全世界株のインデックスファンドを買って積み立てれば、40年間に渡って配当が得られ、さらにそのどこかで急騰する場面があって、大きく利益を上げられる可能性が高いというのはわかります。


一方、高齢者は今すぐ運用しながら取り崩すことになります。期間は20年くらいしかありません。
さらに、老後をアクティブに過ごせる最初の10年が重要です。
最初の10年はマイナスで次の10年は大きくプラスになった、というのでは老後を楽しめません。
次の10年では認知症になる可能性があり、そうなったら運用はできません。

だから、目先を重視したやり方にならざるを得ません。
米国株はバブルかもしれない、日本株はこれ以上伸びないかもしれない、よくわからない、となれば、当面投資しないという考え方もあると思います。

 

高齢者は新NISAをどう考えればいいのか

高齢者なら一括投資で、一般NISAを使うと思います。
まとまった余裕資金があることが前提です。

新NISAは従来のNISAと比べて、

・年間240万円までの投資を5年間行い、1200万円までになった
・非課税期間が無期限になった
・売ってもその枠は次の年に復活する

と改善されています。

例えば、利回り3%の株を1200万円分保有して年36万円の配当をもらうと、20%の7.2万円が非課税となって毎年得をすることになります。

でも年7.2万円はそんなに大した額ではありません。

おそらく、新NISAには前提となるシナリオがあると思います。
それは、右肩上がりに株価が上がり、その値上がり益が無税になることです。
これが一番のメリットです。

例えば、1200万円の株が将来、10倍の1億2000万円になれば、売却益の1億800万円の20%の2160万円が無税となり、かなり得をすることになります。


でも、そんなにうまくいくだろうかと思います。

NISAを勧める人たちは、下がることを想定していないような気がします。値下がりしたら課税口座との損益通算はできません。

そして高齢者は時間が限られています。40年保有して値上がりを待つ、ということはできません。


そもそもNISAの制度が積み立てを前提にしていて若い世代向けであり、高齢者向きではありません。

これから右肩上がりに上がっていくことを確信しているなら新NISAをやるべきでしょうが、そうでないなら新NISAをやるかどうかはよく考えた方がいいと思います。