YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

日本人が投資をやらない理由

YouTuberのKentaro.氏が、日本人が投資をやらない理由を解説しています。

1.過去30年デフレで、現金を持つのが正解だったから
2.投資に回すお金がないから 特に若者は奨学金年功序列でお金がない
3.新築マイホーム購入でお金がなくなるから
4.貯金の金利が高かったという、戦後の強烈な成功体験があったから
5.バブル崩壊での失敗があったから 下の世代もその影響を受けて投資しなくなった

動画で断言しているので納得しそうになりますが、かなり違うと思います。

まず、投資をやるやらないの議論は余裕資金があることが前提です。だから2と3は議論に関係ありません。

1は、物価下落率がほんの少しなので投資をやらない理由にはなりません。

4は話が古すぎます。

5も古い話でもう30年経っています。当時の投資家が40代から70代とすると、今は70代から100代であり、もう投資から引退しています。

正しそうなのは5のバブル崩壊の影響だけです。
でもこれだけなら説得力はありません。


ファンドマネージャーの奥野一成氏の解説のほうがわかりやすいです。

「世界最強の株式インデックス」S&P500が抱える決定的な弱点(PRESIDENT Online)

日本人に長期投資が根付かなかった根本原因は、

・米国民は金融資産の4割を株式で運用しているのに対し、日本国民は10%程度
・これは米国民の金融リテラシーが高いのではなく、単なる偶然
・米国は企業価値を増大できる企業だけが生き残れる市場なので、機械的に投資しているだけで長期投資に成功できた
・日本は、株式市場に新陳代謝が欠如しており、全体として上昇できず、レンジ内取引に終始することになってしまった
・これでは長期投資の成功体験を積むことなど有り得ず、株式市場に個人のお金が流入しない

つまり、

・日本の株式市場には、企業価値を増大できない企業が退場しないという問題がある
・そのため、全体が右肩上がりに上昇せず、長期投資が成功できない
・成功できないのだから個人は投資しない

こちらの説明のほうが納得できます。
だから東証がいろいろ改革しようとしているのでしょう。


さらにこれ以外にも理由があると思います。
証券会社や銀行の営業パーソンが、投資家に不利な金融商品を売っていることです。
例えば、
・手数料や報酬が高いのに実績が伴わない投資信託
仕組み債
・毎月分配型ファンド

その結果、多くの投資家が損をしています。

投資家は、上場しているような大企業の立派な営業パーソンを信頼し、その人が勧める商品を買ったのに、それで大損をして、その理由がハイリスク・ローリターンあるいは欠陥のある金融商品を買ったからとわかったら、もう二度と投資はしないと思うでしょう。


株式市場の問題、証券会社・銀行の問題は解決の兆しがありません。
だから、NISA、iDeCoの制度が充実したとしても引き続きほとんどの日本人は投資をやらない、ということになると思います。