YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

2種類ある「健康寿命」

健康寿命について調べていると、2つの異なった意味で使われていることに気が付きます。

ひとつは厚生労働省 e-ヘルスネットの健康用語辞典にあるWHOの定義です。

WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間

Wikipediaにも同じようなことが書いてあります。

健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと。


もうひとつは、同じ厚生労働省 e-ヘルスネットにある健康寿命の定義と算出方法です。

「日常生活に制限があること」を不健康と定義し、3年ごとに実施される「国民生活基礎調査(大規模調査)」で得られたデータをもとに算出することになりました。
「(1)「日常生活に制限のない期間の平均」(主指標)
「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問に対して、「ない」という回答を「健康」とし、「ある」という回答を「不健康」として、サリバン法により算出します。
(2)「自分が健康であると自覚している期間の平均」(副指標)
「あなたの現在の健康状態はいかがですか」という質問に対する、「よい」「まあよい」「ふつう」という回答を「健康」とし、「あまりよくない」「よくない」という回答を「不健康」として、サリバン法により算出します。


介護状態でなければ健康だ、というWHOの定義は日本では採用されず、「日常生活に制限があること」を不健康としてアンケート調査で数字を出すことになったということです。
その理由についてもe-ヘルスネットで説明されています。

健康寿命のあり方に関する有識者研究会報告書

「日常生活に制限のない期間の平均」は健康寿命の指標として妥当

介護データは主に身体的要素(一部、精神的・社会的要素も含む)を反映していること、主に介護保険サービスの対象となる65歳以上のみが対象であること、「不健康な期間」が1~2年と大幅に短くなること等、指標としての課題があることを認識しておく必要があります。


このように「健康寿命」の定義が2つあるためか、特に介護関係の記事で「(平均の)健康寿命を過ぎても元気な高齢者はたくさんいます」といった主張がされることがあります。

不安を煽るCMに騙されないで…健康寿命を過ぎても元気な老人は意外と多い(日刊SPA!)

厚生労働省介護保険事業状況報告」によると、日常生活を一人で送るのが難しい要介護2以上の人の割合は70~74歳で2.8%、85~89歳でも22.8%しかいない。

健康寿命における健康な人とは『あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか』との問いに対して『ない』と答えた人を指します。あくまで主観的なので、調査時に偶然風邪をひいていたり、ちょっとしたケガをしていたような人が『いいえ』と答えることも多い。全世代調査なので、『65歳の人が何歳まで自立した生活ができそうか』を知るためにはそもそも向いていません。

 

本当はどちらが正しいのでしょうか。

少なくとも、要介護1以下なら健康だ、というのは違うと思います。
要介護1とは?受けられるサービスや要支援2、要介護2との違い(LIFULL介護)
によると、要介護1は、

・食事はほとんど自分でできるが、身の回りのことに部分的に手助けを必要とする。
・立ち上がるときは支えを必要とする。
・歩くときは不安定になるので支えを必要とする。
・理解力の低下が見られる。
・トイレや入浴に一部手助けが必要。

このように、介護関係者の「健康」の基準はかなり低いことが分かります。


・運転免許証の更新時に75歳で全員が実技試験を受けなければならない。
・医療制度では75歳を境に高齢者を前期と後期に分けている。
といったことから考えると、一般的に考えられている「健康寿命」は75歳くらいが平均と言えるのではないでしょうか。

老後は生き生きと楽しく遊んで暮らしたい、というイメージを持っているなら、それができるのは75歳くらいまでという時間軸で計画を立てるべきでしょう。