YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

「気高く生きる 100の知恵」の本に高齢男性の問題点が凝縮されています

気高く生きる 100の知恵 (TJMOOK) 2022/12/13

表紙の一番大きな文字に「還暦後の人生を、自信と誇りをもって生きる」とあります。

そして表紙の人物が「国家の品格」の著者の藤原正彦氏であり、彼が1943年生まれの79歳であることから、戦前、戦中生まれ、団塊の世代から見た、理想の生き方、生きるための知恵が書かれている本であることがわかります。

それを今の60代にも勧めたい、というのがこの本の主旨のようですが、かなり違和感があります。


「先人たちの生き様」「気高くあり続ける」「矜持」「輝いた生き方」「自分にしかできないこと」「何を成すべきか」
⇒理想が高すぎるのではないでしょうか。


「60歳は人生の中間地点」「後半戦」
⇒どう考えても60歳は中間地点ではなく、終わりの始まりです。
少ない資源、逆風の中でどうやりくりするか、という撤退戦であるべきです。
現状を認識して作戦を立て直す必要があるのに、今までと同じことをやろうとするのはどうかと思います。


「(老いを)受け入れる」「肯定的に楽しむ」「忙しい日々がアンチエイジング
⇒老いは自然なことです。肯定否定は意味がわかりません。楽しむものではありません。老いに対する向き合い方もおかしいと思います。


「(お金を)残すのか使うのか資産の流儀を見極める」「寄付という資金の使い方」
⇒資産運用とか将来の収支一覧を作るという話が一切ないのに驚きます。


「虚心に病と向き合う」「考えても仕方がない」
⇒思考停止のような態度はどうかと思います。勉強し、熟慮して対策し、最後はあきらめが必要ということではないでしょうか。


「自分のことは自分でできる」「パートナーに愛を伝えておく」「一緒に過ごす時間を大切にする」「個を尊重する」「変えるべきは自分の振る舞い」
⇒これらは戦前、戦中生まれ、団塊の世代が家庭でやってこなかったことです。
言葉で言っても今までの行動が違えば嘘に聞こえます。行動で示すべきではないでしょうか。家族の章から問題の根深さがわかります。


こうなってはいけない、見習ってはいけないという、先輩方の問題点が凝縮されている、ある意味よくできた本だと思います。