「人生100年時代」とは、ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏が著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で提言した言葉です。
これに政府が反応し、2017年に「人生100年時代構想会議」をスタートさせました。
これがひとり歩きして「人生100年」が当たり前、それが正しいとなってきていると思います。
「LIFE SHIFT」で提唱されているのは、
「今20歳の人は100歳以上、40歳以上の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上生きる確率が半分以上ある」
「2007年に日本に生まれた子どもの50%は107歳まで生きる」
であって、すべての世代の平均寿命が100歳になるとは言っておらず、60歳の人は人生90年と言っています。
「LIFE SHIFT」の数字は、今後の医療の進歩や生活習慣の改善を計算にいれて予測したものです。
これに対し、厚生労働省の平均余命の数字は現時点での情報をもとに作成したものです。
今60歳の人はそろそろ未来が見えていて、厚生労働省の平均余命の数字がほぼ当てはまるはずです。
男性は24.21歳、女性は29.46歳です。(令和2年)
主な年齢の平均余命(厚生労働省)
それぞれ前年から0.23歳、0.30歳伸びており、今後も伸び続けると考え、プラス3歳すると、男性の寿命は87歳、女性は92歳となり、「LIFE SHIFT」の「60歳の人は90歳以上生きる確率が半分以上ある」とほぼ一致します。
いま60歳の男性ならだいたい90歳くらいが限界ということであり、「人生100年時代」は自分たちにとっては嘘だと自信を持って言えます。
50代60代男性をターゲットにしている、人生100年だから資産運用しようというTV CMは明らかにおかしいことがわかります。
しかし20歳の女性となると別の話になります。さらに40年後なのでさらにプラス6歳すると98歳となり、100歳が見えてきます。3割くらいが100歳を越えるようになってきたら、もはや「人生100年時代」は現実ということになるでしょう。