YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

会社員が65歳で介護保険料が4倍になるからくりを具体的に説明します

介護保険、会社員は65歳で保険料急増 資金計画は早めに(日本経済新聞)

日経の説明には制度や金額については書いてあっても、計算式と金額の根拠が書いてありません。


定年後再雇用で64歳まで働き、年収が350万円とします。
その介護保険料は、料率が1.8%とすると、半額負担なので、
だいたい350x0.018/2=年間31,500円です。

65歳になると全員が第1号被保険者となり、市町村が介護保険料を徴収します。
リタイアして年金が加給年金を合わせて年300万円とします。
その所得は300-110万円=190万円となり、
介護保険料は横浜市のPDFによると99,060円になります。3.14倍です。

もし、配当や企業年金などの収入が60~70万円以上あると所得が250万以上となり、120,900円に跳ね上がります。3.84倍です。

介護保険料が4倍になるからくりは、

・64歳まで再雇用で働いていると、その少ない給与収入だけに比例し、
 しかも会社が半分負担してくれる。
・65歳になると第1号被保険者になり、所得全体に比例し、全額自己負担となる。

よってざっと2x2の4倍となります。


日経の記事に出てくるAさんは、64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給しつつ、おそらくフルタイムで仕事をしたため、所得が294万円になってしまい、65歳の介護保険料が急増しています。

どうも所得が250万以上の人は介護保険料を大幅に増やすという考え方があるようです。

Aさんは65歳になってもフルタイムで働くらしく、年金が80万円増えて所得が374万円になり、介護保険料が1段階上の年13万2360円になるそうです。

会社員は65歳から介護保険料を年10~13万円払うものだとあきらめるしかないのでしょう。

 

80代による老後のアドバイスは残念ながら40代にはあまり役に立ちません

人生後半の時間術 (プレジデント2022年 11/18号)

表紙にはこう書かれています。

「毎日が面白くなる人生後半の時間術」

9割捨てる!限りある自分時間の過ごし方
「自分らしい生き方」実現シート付き

80代200人調査で判明!年代別”今やらないと後悔”ベスト5

人生100年はウソ!健康寿命は短い。1日にたとえたら、60歳は”夜20時”

 

「今やらないと後悔」の記事では、80代200人にヒヤリングし、40代~70代ですべきことをまとめています

40代 ……………「お金の準備」「健康ケア」、そして3つ目の大課題は…
50代 ……………「人生設計」に着手、「パートナー」との関係見直し…
60代 ……………「健康と仕事と旅行」が揃えば、人生の黄金期に…
70代 …………… 欠かせない「定期健診」と「なじみの医師」「モノの整理」

 

80代に聞くのはアイデアとしてはわかりますが、価値観も生きてきた環境も大きく違うので、世代が離れるほどアドバイスが的外れになると思います。

特に仕事については、80代が昔を振り返ってアドバイスをしても40代に参考になる部分は少ないはずです。

お金についても、厚生年金、退職金、企業年金が大きく違います。
「定年後はやりたい仕事をやるべきだ」と言われても、40代が20年後に60代になったら、生活資金が足りず、確実な収入を優先したほうがいいという結論になるでしょう。

最も異なるのはパートナーとの関係見直しです。一般的な80代夫婦の関係性は、40代夫婦のそれとは大きく違うはずです。

この中で参考になりそうなのは健康関連のところだけです。


その他の記事も、
「料理を勉強して妻から自立する」(弘兼憲史氏)
⇒60代の自分でも世代の違いを感じます。

「残念ながら、現代の高齢者は尊敬されていない。どうすれば敬われ、大切にされるのか?」(長谷川眞理子氏)
⇒そもそもなぜ尊敬されたいのかわかりません。しかもそのあとの記事で「他人の軸で考えない」と否定されてしまっています。


この特集はいろいろな人が言う人生後半のアドバイスがバラバラに並べられています。
矛盾するものもあります。

老後の生き方の答えを求めて雑誌を読んでいるのに、結局自分で取捨選択しなければならなくなっています。

この手の特集記事は斜め読み程度にし、自分で考えるのが一番の早道だと思います。

 

リビングウィルとは

リビングウィルとは? メリット・デメリット、法的効力もわかりやすく解説(つぐなび)
⇒主に相続について書かれているWebサイトにある説明です。

リビングウィル(Living will)とは、「生前の意思」という意味の英語の音訳で、終末期医療を迎える人たちが、元気なうちに延命措置などに対しての意思を記しておくもののことです。「終末期医療における事前指示書」とも呼ばれます。


リビングウィルとは(日本尊厳死協会)
⇒日本尊厳死協会の説明です。

「あらゆる手段を使って生きたい」と思っている多くの方々の意思も、尊重されるべきことです。一方、チューブや機械につながれて、なお辛い闘病を強いられ、「回復の見込みがないのなら、安らかにその時を迎えたい」と思っている方々も多数いらっしゃいます。「平穏死」「自然死」を望む方々が、自分の意思を元気なうちに記しておく。それがリビングウイル(LW)です。

 

延命措置拒否のリビングウィルを持った救急患者の治療方針の決定(日本看護協会)
⇒看護師向けの事例紹介です。

・70代後半男性が心不全で緊急入院
リビングウィルを所持していたが、相談して人工呼吸器をつけた
・4日目に状態が安定し人工呼吸器を外したが、夜間に呼吸困難が強い
・麻酔をかけると呼吸が浅くなり心臓に負担がかかる
・再び人工呼吸器が必要になるかもしれない

この状況で麻酔をかけるかどうかを判断します。
本人の希望は「苦しいのを取って欲しい」です。

医師の見解は、
・回復の見込みはまだあるため、まずは鎮静をかけ、必要であれば人工呼吸器管理の下、心不全の治療を行いたい
・しかし、回復の見込みが高いとは言えず、家族は人工呼吸器を装着することは望んでいない。どうしたらよいものか…

看護師の見解は
・家族が全員そろわず、家族としての意思決定がない
リビングウィルを示していたのに人工呼吸器の装着に同意しており矛盾している


リビングウィルとは、回復の見込みがないのなら「平穏死」「自然死」を望むことですが、実際その時になってみると「回復の見込み」の有無の判断が難しく、家族が一致して延命措置の開始、終了を判断することも難しく、どうしていいか分からない、となりがちです。

リビングウィルの文書を書いて署名したからそれで終わりということではなく、医師からいろいろ選択肢を提示されたときに明確に判断できるよう、普段から勉強し、自分の意志を決めておき、家族で話し合っておく、といったことが必要でしょう。

 

老化は病気であり治療できるのか

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

Amazonの試し読みで1章の途中まで読めます。

第1部の1~3章では、主にエピゲノムについて解説しています。
・老化とはエピゲノム情報の喪失である
・エピゲノムの変化が老化の原因だ!
・エピゲノムを安定させれば若返りも不可能ではない
・老化を病気と認めれば老化との闘いには勝利できる

第2部の4~7章では、寿命を延ばすいろいろな方法を解説しています。
・薬以外の方法
 食べる量を減らす、間欠的断食、アミノ酸の制限、運動をする、寒さに身をさらす、サウナ、タバコをやめる、放射線を浴びない、など
・薬を使う方法
 メトホルミン、レスベラトロール、NMN、など
・研究中のいくつかの方法
・医療による方法
 個人に特化した精密医療、オーダーメイドのがん治療、センサーの活用、など

第3部の8~9章では、人が死ななくなった場合に起こる社会問題について解説しています。
人口増加、政治家がやめない、社会保障の危機、広がる格差、などです。

最後に老化研究に割かれる予算が少ないことを嘆いています。


星一つのレビューを見ると、かなり厳しいコメントが並んでいます。

 

一見難しい本に見えるが実際は読みづらいだけの本。
結局のところ、書かれている事は研究段階であり、人類が老いない身体を手に入れる為の方法が確立されたわけではない。
また、老いなき世界を実現するべきだと主張する根拠もこちらが納得できる形で述べられている箇所はなかった。

(薬の)それぞれの老化に効くとする成分の副作用については、あまり触れられていない。例えばメトフォルミンについては、かなりの確率で健常者が服用した場合、便秘になるだろう。QOLが著しく損なわれ、腸の癌発症率も高まる事は明らかである。著者の研究は発展途上であり、あまり真に受けない方が良いだろう。

高額なNMNサプリの宣伝とも見える。(業者がこの本を悪用しそうで心配)

未完成な研究成果を伝える危険性に真摯に向き合う姿勢がみられない。

 

老化は治療できると信じているが、今のところまだできておらず、研究を進めるためにもっと予算をつけるべきだ、という主張が書かれている本だということでしょうか。

 

平均寿命を超えた老人が延命治療を受けるとろくなことがない

終末期医療に携わってきた92歳の精神科医が"理想の最期"を迎えるために60歳から準備してきたこと(President WOMAN)

だいたいこんな内容です。
・医者や看護師で、高齢者になってから延命治療を受けたいと言う人はいない
・しかし日本の医療では、多くの病院で高齢者への延命治療が行われている
・コロナで話題になった人工呼吸器は意識があると非常に苦しい
・高齢だと呼吸機能や意識が正常に戻り切らない場合が多い
・その結果、寝たきりの状態となる
認知症が進み、食事・排泄ができなくなり、高カロリーの輸液を24時間流される
・静脈に針をさして輸液を流すことができなくなると胃ろうをすることになる
・オーストラリアやオランダ、スウェーデンでは、認知症や寝たきりの高齢者に人工栄養は全く行われず、オーストリア、スペイン、アメリカでもかなり少ない
・年老いた人間の最期は、自然に任せておくのが一番楽
・死ぬ間際の心臓マッサージも止めてもらう
スウェーデンでは、80歳以上で重症になった高齢者は、回復の見込みがないと判断された場合は、ICUにも入れない


つまり80歳を過ぎたら、
・治療は最低限にする
・回復の見込みがないなら治療しない
・自分で食事ができなくなっても人工栄養を行わない
という判断が必要かもしれません。

そして、家族に意思表示をしておくことが大切です。
・平均寿命を過ぎている
・自分が期待した動作、行動ができない
 ・自分で移動できない
 ・自分で食事ができない
 ・自分で排泄ができない
 ・その他自分がやりたいことができない
・今後回復する見込みがない
なら延命措置せず、痛みを和らげるだけにして自然に死なせるべきです。

自分もそうしたいので、これから具体的に行動していこうと思っています。

 

ピンピンコロリを実現する方法

ピンピンコロリ(Wikipedia)

ピンピンコロリとは、健康寿命の長さを言い表した表現で、「病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝込まずにコロリと死ぬこと、または、そのように死のう」という標語。

大変いいことのように思いますが、これには批判があるようです。

・要介護状態、認知症や障害の人を否定している
 ⇒否定しているわけではなく、自分がそうなりたくないと考えているだけであって、そう考えるのは個人の自由だと思います。

・要するに突然死であり、死因不明が多く、家族に悔いが残る
 ⇒普段から交流があれば高齢で突然死しても残念感は少ないし、高齢ならいつ死んでも自然だと思います。

おそらくほとんどの人はピンピンコロリの死に方を望むでしょう。

でもこれは標語であって、願いであるということです。願うのは誰でもできます。
願うだけでなく、できるだけそれを実現するためにどうすればいいか、そのためのステップを考えてみました。


1.目標寿命を設定する

60代前半の男性なら、85歳くらいが平均寿命になります。
自分は特に体が丈夫というわけでもなく、かといって不健康というわけでもないので、だいたい世の中の平均ぐらいは生きるだろうし、これくらい生きれば十分、と思うなら目標寿命を85歳とします。

2.目標寿命まで健康を維持する

普通の健康法を実践します。がん検診を受ける、筋トレをするなどです。

3.目標寿命が近づいたときに致命的な病気になった場合は、負担のかかる治療をせず、延命治療もしない

そのタイミングを80歳とします。80歳を過ぎたら積極的な治療をしません。
痛みを和らげるなど、負担の少ない方法を考えて自然に任せます。


ただそう考えるのは簡単ですが、いざその状況になったとき、どうしていいかわからなくなると思います。
「致命的な病気」「負担のかかる治療」「延命治療」「積極的な治療」とは実際どういうことなのか。
「自然に任せる」とはどうやって実現できるのか。
それぞれ具体的、詳細に考えた方がいいし、実現させるためには行動する必要があるはずです。

60代にとってはかなり先のことになるでしょうが、終活として葬式のことを考えるより、まず勉強すべきことだと思います。

 

世の中は高齢者の世代による違いを加齢による違いと誤解しているのではないか

60~90歳のネット利用は年代で大きな違い。EC利用は60代前半でも1回未満/月(日本能率協会総合研究所調べ Impressの記事より)

「いくつかある商品の中から、どれが最もよいかを検討するのがおっくうだ」に対して「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した合計値をみると、男性は80代で大きく割合が高まり、4割を超える。女性は高齢になるにつれ一貫して割合が高まり、80代で5割を超える。

日本能率協会総合研究所では、「買い物を楽しむ高齢者」のイメージがあてはまるのは少数派であり、多くの高齢者は加齢とともに買い物に対して消極的になり、楽に買い物を済ませたい志向が高まると結論づけている。

「加齢とともに買い物に対して消極的になり」とありますが、そうではなくて世代の違いではないでしょうか。違う世代の特徴を見て、加齢とともに変わっていくと誤解していると思います。

男性60~64歳では9割程度がインターネットを利用しているが、高齢になるほど利用率は低下する。「自分ひとりで、ある程度利用」できる割合は、70代後半で6割程度、80代前半で3割程度となっている。

これを読んで加齢とともにインターネットを利用しなくなると判断する人はいないと思います。
今の60代前半の男性が20年後に80代前半になったら「自分ひとりで、ある程度利用」できる割合は3割になるのでしょうか。普通に考えて9割を保つはずです。

 

研究所の調査は、60歳から90歳までの高齢者2,500人を対象に郵送で調査を行い、信頼性を高めようとしています。

高齢者を対象とした既存の調査の多くがインターネット調査であり、回答データに偏りがあるとみられること、また調査対象に70代や80代が少ないことなどを課題ととらえ、インターネットの非利用者も含めた60歳から90歳までを対象としてこの結果を紹介する。

それなのに分析の段階では怪しくなってしまっています。
人は変わる部分(体力)と変わらない部分(知識や経験)があること、世代によって違いがあること、その世代が毎年1歳ずつ上に移動することを理解していないと思います。