YukunP’s diary

古すぎる「定年」のイメージを変えたい! 今の定年は違うんです

過去6か月間に出版された「定年」「60代」「60歳」の本を調べてみました

Amazonの本のジャンルで「定年」「60代」「60歳」で絞り、出版年月が新しい順番で並べます。
すると、関係のない本も含め、過去6か月間で延べ900冊くらい表示されます。
ここから以下を除くと7冊になりました。

 ・広告
 ・年金、健康保険、投資の解説本
 ・どう仕事をするかという本
 ・食事法
 ・50歳、70歳、80歳の本
 ・著者の専門分野(哲学など)をベースに考察している本
 ・定年をテーマにした小説
 ・人事部門向けの本
 ・別なもの(江戸時代など)が主テーマの本
 ・女性向けのファッション、趣味、片付けの本
 ・著名人の生活紹介
 ・著者の自己紹介のような本
 ・団塊の世代以前の過去の話の本
 ・和田秀樹氏の本(別途書きたいと思います)


60歳からはわたし基準でうまくいく!これからをラクに、身軽に生きる100のヒント (別冊エッセ) 2022/11/28

⇒自分の好きなことをやる、今までのルールをやめる、といったよくある内容です。


【便利帖シリーズ113】60代からを身軽に幸せに生きる便利帖 (晋遊舎ムック) 2022/9/27

⇒これも、今までの考えや習慣などを手放してラクになる、自分らしく幸せに生きる、という内容です。


自分を毎日ごきげんにする60代からの心地よい小さな暮らし (扶桑社ムック) 2022/8/3

⇒いろいろな人の暮らし方を紹介しています。料理、月5万円でのやりくり、居心地のいい空間づくり、小さい家への引っ越しなどです。パリのひとり暮らし情報もあります。


晋遊舎ムック 60代からの小さくも豊かな暮らし方 その4 2022/7/27

⇒特殊な職業の人の生活紹介は参考になりませんが、家にある捨てるべきものの特集は意外に参考になります。


60歳からはじめて人生が楽しくなる100のこと (TJMOOK) 2022/6/7

⇒「小さな暮らし」とかではない本です。アイデアが100あるのでそのうちいくつかは自分の役に立つかもしれません。


60代ひとり暮らし明るく楽しく生きる術。(Mimi著 2022/10/7)

⇒まずおしゃれを考えて、気持ちの持ち方、老いに対する心構えを説く本です。


気高く生きる 100の知恵 (TJMOOK) 2022/12/13

⇒男性向けの「還暦後の人生を自信と誇りをもって生きよう」と説く本です。
内容は70代、80代向けのようであり、世代の違いを感じます。


「定年」で検索すると男性向けの本が多く、「60代」「60歳」だと女性向けの本が多くなります。

女性向けの本が増えています。内容に、「やめる」「捨てる」「頑張らない」、といった共通点があります。もっとポジティブに考えればいいのにと思います。

男性向けの定年後の生き方についての新しい本は最近はあまり出なくなっています。
そろそろネタ切れなのかもしれません。

 

2022年の1年間で知り得たこと

1.60代はきついトレーニングが必要である
実際、きついと思うまでやってみてその効果を実感しました。
体重が落ち、1年前の写真と比較して少し若返って見える気がします。
自転車でちょっと遠くに出かけるくらいでは健康は保てないことがわかりました。


2.老後の生き方を探すことは「自分探し」であり、それは若者から学べる
若い人ほど就活などで苦労しており、よく考えています。


3.「自己肯定感」が重要である
50代くらいから上の世代は学んだことがないと思いますが、世の中では常識になっています。


4.インフルエンサーの言葉を真に受ける心理とそうしてはいけない理由
人生にレールがなくなってきており、誰かに従うことで安心感を得たい、世界のどこかに正解があるはず、と信じるようになり、探し当てた人の言葉がすべて正しいと思いこんでしまいます。
インフルエンサーの言葉はそのインフルエンサーにとっての正解にすぎません。
自分にとっては何が正しいかを作り出すことが大事です。


5.定年後に退屈になる理由
ショーペンハウアーによると、教養がなく精神が貧しいゆえに知的な楽しみを受け付けず退屈になります。
その結果、低次元の欲求を満たすか、すでに持っている富をもっと増やしてやろうと蟻のように働くことになります。


6.定年本には2つある
ひとつは、50歳から準備して起業し仕事を続ければそこがあなたの居場所となり、妻とは距離を置くことができ、お互いに幸せになれると説くものです。
もうひとつは、仕事をせずに遊び、自宅に居場所を作って妻と仲良くしなさいと説くものです。


7.高齢者が経済的に困窮している原因
年金と貯金が少ないのが第一ですが、それ以外に、いくら年金がもらえるかなど老後のお金の計画を立てていなかったこと、節約できていないこと、無駄遣いしていること、も大きな原因です。


8.医療リテラシーを身につける必要がある
これから治療などの意思決定をする場面がでてきます。
その際に、人間の体や医療についての基本的な知識を獲得し、ネットなどから正しい情報を集めたうえで、治療の選択肢のメリットとデメリットを比較し、理解することが必要になります。
情報収集では、「デマ」や「偏った情報」を見抜くこと、科学の進歩による医療の常識の変化を知ることが大事です。

 

認知症患者は今後激減するかもしれません

「認知症が減少」のなぜ みえてきた教育水準との関係(日本経済新聞 2022/12/10)

認知症の減少はかなり前から言われていることのようです。

認知症の発症率、欧米で下がり始めた 科学者が考えた「なぜ」(The Asahi Shinbun Globe+ 2020/10/21)

・欧米では認知症の勢いが衰えつつある
・現在、患者数が増えているのは全人口に占める高齢者の数が増加しているから
・発症率に男女差はない 女性が認知症になりやすいのは長生きだから
・アジアや南米では下がっていない
・発症率を上げる因子には、喫煙、高血圧、コレステロールがある
・欧米ではそれらの対策が進んだことで発症率が下がった可能性がある
・発症率が低下したもう一つの理由は教育かもしれない


さらに前にも記事がありました。

高齢者の認知症、発症率が低下 欧米研究で相次ぐ(BBC 2016/11/24)

・米医学誌に掲載された研究で高齢者の認知症発症率が低下していることが示された
・教育水準の上昇が認知症予防に貢献している可能性がある
・教育が予防に役立っていることは長年推測されていた


欧米では発症率が低下しているのに、日本ではまだ増加傾向にあります。
その理由を分析した記事はなかなか見つからないのですが、5年前のこの記事がヒントになると思います。

先進国において認知症患者の割合が最も多いのは日本!認知症が”発症しやすい国”の特徴とは(みんなの介護 2017/12/15)

日本は全人口における認知症有病率が2.33%となり、OECD加盟国のうちで最多となりました。
これは2位のイタリア3位のドイツと比べても高い値であり、OECDの平均である1.48%と比べると大きな乖離がみられます。


日本、イタリア、ドイツと言えば第二次世界大戦の敗戦国です。
戦前、戦中、戦後の混乱の中で生まれ育った世代は十分な栄養を取れず、教育を受けられませんでした。そのことが認知症に影響したのかもしれません。

そうだとすると、その下の2020年定年世代は栄養と教育が急速に改善しており、かなり発症率が下がるはずです。

人数も少ないので、我々が85歳になる2045年くらいには認知症患者が激減するはずです。
そして高齢者施設がガラガラになる、介護スタッフが大量失業する、という今では想像もできないことが起こるかもしれません。

そうなれば心配がひとつなくなるのでぜひそうなって欲しいものです。

 

健康診断、精密検査、治療はくじ引きのようなものだと思う

健康診断は無料のくじです。
異常が見つかることが当たりです。
当たると精密検査のくじを引くことができます。

精密検査は安いくじと少し高いくじがあります。
「治療が必要」と結果が出ることが当たりです。
当たると治療のくじを引くことができます。

治療も安いくじと高いくじがあります。
症状が改善する、数値が改善して将来のリスクが減ることが当たりです。

治療のくじの中には大当たりがあります。
例えば、放置していたら60代で死んでいたはずの問題が見つかり、簡単な手術で完治し80代まで生きられたとすると、20年の命が得られたことになります。


宝くじと比べると、当たりの確率がそこそこ高いところが違います。


普通のくじと違うところは、
・歳を取ると当たる確率が高くなる
 歳を取ったらくじを買った方が得です。
 これが40歳くらいから健康診断を毎年やる理由です。
 そして60歳くらいから追加の検査を必要に応じてやるといい理由です。

・さらに歳を取ると当たりが小さくなる
 80歳で治療しても延命が数年なら当たりが小さいことになります。
 これが寿命が近づいたら治療を控える理由です。

・歳を取るとくじが高くなる
 治療の負担が体にかかるので、くじが高くなります。
 当たりも小さくなるため、くじを引く意味が急速になくなっていきます。


考えるべきことは、くじのコストが高いのに当たらない場合にどうするかです。
高いくじを引き続けて当たらない状態になったら、そろそろくじをやめるときです。

治療の負担がどれくらい体にかかっているのかを考え、治療を繰り返しても症状が改善しなくなってきたらやめることを考えるべきです。

平均寿命に近づいてきたらやめることも検討すべきでしょう。
この判断のためにも寿命の見積もりが重要になります。

このあたりは医者と話し合いをして決めることになると思います。


心配なのは、医者と患者でくじのコストと当たりの大きさの判定にギャップがあるかもしれない、ということです。

検査と治療は、医者にはメリットがありますが、患者にはありません。

医者は検査と治療を頑張り、どれだけ最善を尽くしたかという過程を重視して自己評価するはずです。

患者は、検査で何も発見されないならくじに外れたことになります。
問題がなかったことがわかったからよかったと言う人もいますが、時間とコストをかけてやったのに何も見つからないならマイナスです。

治療で改善しない場合もくじに外れたことになります。
時間とコストをかけてやったのに全く改善しないならやった分だけマイナスです。

そして検査・治療をしなければよかった、やめようとなります。


医者もそのギャップがわかっていると思います。

しかし立場の違いがあり、医者は医者の論理で物事を進めようとするはずです。


医者は、科学的、統計的に考えます。
標準的な治療は多くの人にメリットがあるように合理的に設計されているはずであり、医者はそれに従って行動します。

しかしそれだと自分が少数派に含まれたときに損をしてしまうかもしれません。
なので、最終的には自分が決定する、あえて確率が低い方、非科学的なやり方に賭ける、という強い意志が必要になってくると思います。

標準的なやり方が本当に自分にとってメリットがあるのか、自分中心に考えてくじを引く、あるいはくじを引かないようにすべきだと思います。

 

〇〇リテラシーにはどんなものがあるか

Wikipediaによると、
メディア・リテラシー(Media literacy)
ネット・リテラシー(Net Literacy)
デジタル・リテラシー(Digital literacy)
コンピューター・リテラシー(Computer (Digital) literacy)
情報リテラシー(Information literacy)
ICTリテラシー(Information and Communication Technology)
視覚リテラシー(Visual literacy)
ヘルス・リテラシー(Health literacy)
精神リテラシー(Mental literacy)
金融リテラシー(Financial literacy)
科学リテラシー(Scientific literacy)
マルチメディア・リテラシー(Multimedia literacy)
統計リテラシー(Statistical literacy)
人種リテラシー(Racial literacy)
文化リテラシー(Cultural literacy)
環境リテラシー


この中でよく聞くのは、コンピューター・リテラシー情報リテラシー、ヘルス・リテラシー、金融リテラシーでしょうか。いずれもWikipediaの英語版にもあります。

コンピューター・リテラシー
⇒コンピュータを操作して、目的とする作業を行い、必要な情報を得ることができる知識と能力を持っていること。

情報リテラシー
⇒情報を自己の目的に適合するように使用できる能力

ヘルス・リテラシー
⇒健康面での適切な意思決定に必要な、基本的健康情報やサービスを調べ、得、理解し、効果的に利用する個人的能力の程度

金融リテラシー 日本語版がなく、英語版しかありません。
⇒個人が、すべての金融リソースに対して、情報にもとづいた効果的な意思決定を行える一連のスキルと知識を持つこと


まずパソコン・スマホを使えるようになり、そこから得た情報を正しく取捨選択して利用し、健康や家計の運営に活かす、という順番で必要になるということだと思います。


学校では少し前からICT教育が始まり、最近では金融教育も始まっているようです。

子供だけでなく、すべての大人が義務教育としてeラーニングなどで習得すべきだと思うのですが、ネットを検索してもそのような考えはないようです。

大人は自分で動いて自分を教育するしかありません。これが格差の原因なのでしょう。

 

医療リテラシーとは

自身を守り家族を守る医療リテラシー読本(松村 むつみ 著)

「ヘルスリテラシー」という言葉があり、その意味は、

医療や健康に関する情報を集め、健康維持や治療などの意思決定に活用できる力

です。そして「医療リテラシー」はそのうちの医療に関連した部分を指すので、

「医療に関する情報を集め、治療などの意思決定に活用できる力」

という意味になります。


この本の前書きの内容は、
・現在は医療情報をネットから入手しやすくなり、便利になった
・その反面、情報があふれることでどれを信じていいかわからず不安になっている
・昔は医療の情報が限られ、治療も医者に委ねる風潮が強かった
・今はインフォームド・コンセントが必要とされている
・そのためには、
 ・人間の体や医療についての基本的な知識
 ・治療の選択肢のメリットとデメリットを比較し、理解すること
 が必要である

インフォームド・コンセントとは、「自分の体で何が起こっているかについて、医療者から説明を聞いて理解し、診断や治療について同意する」ことです。

 

目次は、
序章 医療リテラシーを身につけたい理由
第1章 どうして医療情報は、わかりにくいのか?
第2章 「デマ」や「偏った情報」の特徴
第3章 自分を守り家族を守る医療情報リテラシー
第4章 「感染症放射線・がん」で具体的に学ぶ医療リテラシー
第5章 知っておきたい「病院のかかりかた、薬のもらい方」


特に気になった部分は、
・科学が進歩して医療の常識が変わっている
エビデンスにはレベルがあり、「専門家の意見」や「動物実験の結果」はレベルが低い
・医療にはリスクがつきものであり、過大に恐れるとメリットを享受できない
・偏った情報には特徴がある 100%の断定、権威付け、免疫力、天然、など
といったところです。


ひとつひとつが理解するのが難しい内容です。
Amazonのレビューでも「情報満載過ぎてどれを参考にするか分かりにくい。~教科書に近い本だと思った。」と書かれています。

医療リテラシーの話のベースに情報リテラシーがあるため、組み合わさって難しい話になっています。

医者はみんなものすごく勉強しており、患者がそのレベルに少しでも近づくためには相当頑張らなければならないということなのでしょう。


現役時代にずっと健康で医療について考えてこなかった人が、医療全体についての知識を深めその問題点についても一通り理解する、というレベルに達するのはかなり大変で時間がかかることであり、簡単ではありません。

しかし自分の健康のことなので、老人の新人である60代としては、今すぐ勉強を始めないといけないと思います。

 

近藤誠医師が提唱する“がん放置理論”とは

近藤誠氏は、がんは治療せずに放置すべき、などと提唱している医師です。
知らなかったのですが、今年8月に亡くなっています。
おそらく医療の世界では結構大きなニュースだったのだと思います。
そのせいか彼の評価についての記事がたくさん見つかります。

 

「がん放置療法」の近藤誠さん死去 なぜ極論に走ったのか(毎日新聞)

「患者よ、がんと闘うな」などの著作で知られる近藤誠医師が8月13日、亡くなった。

近藤医師が著作で繰り返し訴えた主張とは、主に次のようなものだ。

・<がんもどき理論>がんには、本物のがんとがんもどきがある。本物のがんは見つかった時点で既に転移しており、治療しても治らない。一方のがんもどきは治療しなくても生命を奪わない。

・<がん放置療法>がんと診断されたら治療せず放置するのが一番。また、がん検診で見つかるがんはがんもどきなので、早期発見する意味はない。

・<抗がん剤は効かない>抗がん剤にはがんを治す力はなく、元々が毒なので、むしろ副作用のために寿命は縮む。抗がん剤の有効性を示す臨床試験結果は人為的操作で捏造(ねつぞう)されている。がん専門医や製薬会社、厚生労働省など関係者が構築する「がん治療ワールド」はその事実を隠蔽(いんぺい)している。

 

近藤氏はWikipediaでは「活動家」にされてしまっています。
近藤誠

近藤 誠は、日本の医師免許保有の反現代医療の活動家。


Wikipediaによると、1996年以降に出したこの3冊がベストセラーで有名のようです。
『患者よ、がんと闘うな』(1996年)
『がん放置療法のすすめ 患者150の証言』(2012年)
『医師に殺されない47の心得』(2012年)


「がん放置療法のすすめ」の帯には、「乳がんで全摘手術をすすめられたけど放置、22年経った今も元気です」と書かれています。
中にはそういう人もいるでしょう。
逆にがんを放置して進行してしまった人もたくさんいるわけで、それが“がん放置理論”が間違いであるという証拠になっていると思います。


近藤理論を放置してはいけない(日経メディカル)

近藤誠医師が提唱する“がん放置理論”を信じて、せっかく早期で発見できたがんを進行がんにしてしまう患者が後を絶たない。


問題は間違った本がたくさん出版され、売れていて、読んだ人が信じてしまっていることです。
言論、出版の自由があるから出すのは自由ですが、自費出版か、お金に困った出版社がやることであり、大手の出版社がやることではありません。

患者側としては、医師が書いたでたらめな本が大手出版社からたくさん出ていることを認識し、でたらめであることをを見抜く必要があると思います。